子宮頚癌ワクチンの接種をご希望の方へ

今までのサーバリックスという子宮頚癌ワクチンに加えて、新たにガーダシルというワクチンが8月末に発売されました。
世界中ではガーダシルも以前より接種されており、安全性、効果が確認されています。 どちらを接種するかは被接種者(ワクチン接種を受ける人)またはその保護者に選択していただきます。
ワクチンの供給量に制限があるため 予約時にどちらの接種を希望するのか決めて頂く必要があります。
以下に名古屋市から提示された両者の比較表を示しますので参考にしてください。 9月15日以降はどちらも名古屋市の公費助成の対象となり、対象年齢の方は無料で接種できます。
自費で接種を希望される方は今のところはガーダシルのみとなります(サーバリックスの供給制限のため)。
要点をまとめますと、「サーバリックスは痛みや副作用がやや多いが、効果が長持ちすることが期待できる、ガーダシルは痛みや副作用がやや減少し、効果の持続がやや短い可能性も否めないが、一部の性病感染を予防できる。
肝心の子宮頸がん予防効果については現時点では同等」
 だと思います。
とはいってもどちらもすべてを予防するわけではありませんので、子宮がん検診は20才になったら2年に1回受けることをおすすめします。


サーバリックス ガーダシル
含まれるワクチン
(有効なウイルスの種類)
2種類(16型・18型) 4種類(6型・11型・16型・18型)
予防効果の期待できる病気 子宮頚癌、その前駆疾患 子宮頚癌、その前駆疾患、尖圭コ
ンジローマなど性病の一部
接種スケジュール 初回、1ヶ月後、6ヶ月後 初回、2ヶ月後、6ヶ月後
公費助成制度
(小学6年生から高校1年生の女子)
すでに対象です。救済制度により
平成23年度は高校2年生まで
平成23年9月15日より対象
血中抗体価
(抗体の量)
抗体価と予防効果は必
ずしも一致しません
HPV16(発癌予防) 有効な抗体価が期待できる
(ガーダシルの3.7倍)
有効な抗体価が期待できる
HPV18(発癌予防) 有効な抗体価が期待できる
(ガーダシルの7.3倍)
有効な抗体価が期待できる
HPV6(性病予防) 有効な抗体価が期待できる
HPV11(性病予防) 有効な抗体価が期待できる
副作用 疼痛 99.0% 82.7%

発赤 88.2% 32.6%

腫れ 78.8% 28.3%
供給量
多い やや少ない(年内は供給不足のおそ
れあり)
アジュバント(1) 有り 無し
(1)アジュバントについて
サーバリックスは免疫反応を高めるためにアジュバントという物質を含んでいます。そのため、ガーダシルに比べて抗体の量が多くなり、効果の持続期間が長くなることが期待されていますが、反面接種部位の発赤、腫脹、アレルギー反応などが多めになります。
アジュバントの体への影響を危惧する意見もありますが、今までに有害な影響は報告されていません。

子宮頚癌ワクチン(抗HPVワクチン)についての基礎知識

子宮頚癌とは子宮の頸部(入り口)にできる癌で、ほとんどはHPVというウイルスが原因といわれています。
HPVというウイルスは全部で100種以上の種類がありますが、癌に関連するのは約15種類で、その中でもHPV 16型と18型と呼ばれる2種類が6割を占めています。
サーバリックスとガーダシルはどちらもこの2種類に対するワクチンを含んでいます。
ガーダシルに含まれているHPV6型と11型のワクチンは尖圭コンジローマという性病を予防することができますが、発ガンを余計に予防できるものではありません。
発癌に関連する16型と18型だけでいえば、サーバリックスの方が抗体の値が高くなり、より長期(20年?)に持続する可能性がありますが、両者とも世界で発売されてからまだ10年程のため、今のところはサーバリックスとガーダシルの癌予防効果および効果の持続期間は同等ということになっています。さらに長期の予防効果については検証されていません。