糖尿病・内分櫃・消化器内科・小児科・病児保育 おがたファミリークリニック 医療法人 Acofeliz

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糖尿病・甲状腺疾患の治療について

2018.04.13

日本人の糖尿病の大多数を占める2型糖尿病は食事療法と運動療法が治療の基本です。それだけでは高血糖を改善できないときに薬物療法を始めます。糖尿病治療薬がどのように血糖値を下げるのかを知っていただくため、ふだん血糖値がどのようにコントロールされているのか見てみましょう。
からだの中で血糖値が上下動する仕組み
血糖値に関係する臓器や組織
①膵臓〈すいぞう〉
膵臓は、インスリンやグルカゴンなどのホルモンを分泌しています。インスリンは血糖値を下げるホルモンで、グルカゴンはその反対に血糖値を上げるホルモンです。インスリンの分泌が減ったり、グルカゴンの分泌が増えたりすると、高血糖になります。

②肝臓〈かんぞう〉
肝臓はインスリンの働きを借りて血液中のブドウ糖(血糖)を取り込みグリコーゲンとして貯蓄したり、グルカゴンの働きを借りてブドウ糖を作り血液中に血糖として放出します。インスリン作用の不足やグルカゴンの分泌が多すぎるために、前者の働きが弱まったり後者の働きが過剰になると、高血糖になります。
③筋肉
筋肉はインスリンの働きを借りて血液中のブドウ糖(血糖)を取り込み、エネルギー源として利用します。インスリンの作用不足などのために筋肉での血糖の取り込みが少なくなると、高血糖になります。
④内臓脂肪
インスリンの作用を邪魔する物質を血液中に放出したりして高血糖を招きます。

⑤小腸
食べた物(炭水化物)を消化吸収し、ブドウ糖として体内に取り込みます。食事療法が適切でなく、取り込まれるブドウ糖が過剰な場合は高血糖になりやすくなります。

⑥十二指腸や小腸
食後にインクレチンというホルモンを分泌します。インクレチンは膵臓からのインスリン分泌を促し、グルカゴン分泌を抑えるので、血糖値が下がります。
⑦腎臓〈じんぞう〉
腎臓は血液中の不要物をろ過して尿に出す臓器です。その最初の過程は大雑把で、ろ過したもの(原尿といいます)の中に、まだからだに必要なものが残っています。そこで、ろ過の二番目の過程では、原尿の中にあるからだに必要なものを再度、血液中へ戻します(再吸収といいます)。ブドウ糖もからだに必要な栄養素なので再吸収されるのですが、高血糖状態ではブドウ糖を再吸収しきれず一部が「尿糖」として排泄されます。

インスリンの作用を左右する2つの要素
1インスリン分泌量の減少
膵臓から分泌されるインスリンは、血糖値を下げる唯一のホルモンです。その分泌量が少なくなると、高血糖になります。
2インスリン抵抗性
からだのインスリンに対する感受性が弱まり、その作用が低下することを「インスリン抵抗性」といいます。インスリン抵抗性があると、インスリンの分泌量がかなり保たれていても高血糖になります。

糖尿病の分類

1型糖尿病
インスリンをつくっている膵臓のβ細胞が壊れてしまうタイプです。
自分の体内でインスリンをつくりだすことができなかったり、ごくわずかしかつくれないので、体の外からのインスリン補給(インスリン注射)が絶対的に必要となります
子どもの糖尿病の多くは1型糖尿病ですが、最近では、あらゆる年齢層に起こる可能性があるとされています
突然発症する傾向がありますが、2型のように発症してゆっくり進行していく1型糖尿病もあります(緩徐進行性1型糖尿病)1型糖尿病の人は膵臓からのインスリン分泌がありませんのでインスリン注射が絶対に必要です。当院では疑いのある方は抗GAD抗体、血中Cペプチドなどを検査し1型糖尿病でないかを評価しています。

2型糖尿病
膵臓がつくるインスリンの量が少ない場合と、インスリンの効きが悪い場合、そしてそれらが混ざって発症するタイプです。
日本人の成人の糖尿病の約90-95%がこのタイプです
高血糖状態が持続すると口渇や多飲多尿、倦怠感といった症状が現れますが、?自覚症状がない場合も多く、会社などの健診でみつかるケースも少なくありません。また、眼底出血や下肢の壊疽から下肢切断となり、眼科や皮膚科や整形外科に受診して初めて糖尿病が発覚したり、痛みを感じない心筋梗塞による重症心不全の状態になり、肺に水が貯まり、ついに「咳が止まらない」といった症状がでて初めて基礎疾患である糖尿病の存在が明らかとなるケースもよく見られます。
以前は、中高年の人に発症することがほとんどでしたが、食生活をはじめとするライフスタイルの欧米化により、今では若い人や子どもにも増えています
発症に関係する危険因子は、年齢、肥満、飲酒、喫煙、運動不足、遺伝、高血圧、ストレスなどです
高血圧症や脂質異常症(高脂血症)に糖尿病を合併すると、脳卒中、狭心症や心筋梗塞などが起こるリスクが高まります。

妊娠糖尿病
妊娠をきっかけに、血糖値が高くなるなどの糖尿病の症状があらわれるのが妊娠糖尿病です。しかし、妊娠前、すでに糖尿病と診断されている患者さんは妊娠糖尿病とはよびません。

特定の原因によるその他の型の糖尿病
膵β細胞機能やインスリン作用にかかわる遺伝子に異常があるもの、ほかの疾患(内分泌疾患、膵外分泌疾患、肝疾患)や、ステロイドの服用などにともなって発症するものが該当します。

糖尿病でない方も食後の高血糖(血糖値スパイク)に注意しましょう

空腹時の血糖値は糖尿病の段階の基準値に至っておらず、これまでに糖尿病と診断されていない方でも、食後の血糖値は極めて高い方がいます(血糖値スパイク)。 空腹時の血糖値が高くないため、通常の健診などでは見つかりにくいですが、血糖値の変動幅が大きいことが血管内皮細胞の障害をひきおこして、糖尿病と同じように心筋梗塞などの大血管障害を起こす危険性が高いことがわかっています。 このような状態は糖尿病の早期とも考えられます。つまり、まだ糖尿病と診断されていなくても、糖尿病を発症する前段階である可能性があります。空腹時だけでなく食後の血糖値を測定して、 血糖値が上がらないように食事を工夫したり、食後に運動したりしましょう。

 

糖尿病の薬物療法

糖尿病の治療の基本は食事と運動療法ですが、十分な効果が得られない場合には薬物療法(経口薬 注射薬)が必要となります。糖尿病治療の根幹となる重要なことは、膵臓(すいぞう)のβ細胞がインスリンを出す力が弱くならない(β細胞が疲れてしまわない)ような治療をすることです。糖尿病治療薬の選択については、患者さんの糖尿病の病態、原因、病状、さらにはライフスタイルなどを患者さんとよく検討、相談したうえでその人に合ったものを選んでいきます。
糖尿病の治療薬

ビグアナイド薬(メトホルミン(メトグルコ、メルビン、グリコラン)) 膵臓から出たインスリンが体の中で良く効くようにする(感受性を高める)薬です。また、最近の研究ではメトホルミンがグルカゴン(インスリンとは反対に血糖値を上げるホルモン)による糖の放出を抑制することで血糖値の上昇を防ぐこともわかってきました。昔からある薬で長期間の安全性が確立されおり、低血糖を起こす可能性もほとんどありません。糖尿病の前段階(IGT)の人がのむと糖尿病の発症を抑えられるという報告や、がんの発症を抑制するという報告もあり、まさに「古くて新しい薬」といえます。腎機能の低下した人が飲む場合には注意が必要です。

インクレチン関連薬

インクレチンとは腸から吸収されたブドウ糖の濃度に応じてインスリンの分泌を促すホルモンで、新しい糖尿病治療薬として効果が注目されています。
代表的なものにGLP-1 (Glucagon-like peptide-1:グルカゴン様ペプチド-1)があり、2010年より注射薬として日本でも発売されました。
腸に食物が入る →血糖値が上がる →インクレチン分泌 →インスリン分泌 →血糖値が下がる
またインクレチンはDPP-4(ジペプチジルペプチダーゼ-4)という酵素によってすぐに壊されてしまうため、この酵素の働きを抑えることでインクレチンは壊されにくくなり、食後の血糖値が下がります。
この薬をDPP-4阻害薬と呼び、2009年末より国内でも発売開始となりました。GLP-1を直接注射するよりも効果は弱いですが、飲み薬として簡単に始められます。これらの新しい薬はまとめて「インクレチン関連薬」と呼ばれています。

DPP‐4阻害薬(経口剤)(グラクティブ、ジャヌビア、エクア、ネシーナ、トラゼンタ、テネリア、スイニー、オングリザ、ザファテック、マリゼブ)
効果:食物が腸に入ってきた時だけにインスリンの分泌を促し血糖値を下げ、インスリンとは反対に血糖値を上げる作用をもつグルカゴンの分泌を抑えます。また胃から食物が腸に送られるスピードを抑えます。
副作用:飲み始めの頃に軽い吐き気や胸やけ、便秘がみられることがありますが、1週間から1カ月で気にならなくなる人がほとんどです。我慢できそうな程度の吐き気や便秘であれば中止しないで飲み続けることをおすすめします。ひどい場合は中止して主治医にご相談ください。
低血糖を起こす可能性もほとんどありませんが、SU剤やインスリン注射と併用すると低血糖を起こすことがあります。
ザファテック(トレラグリプチン 武田薬品)マリゼブ(オマリグリプチン MSD)といった1週間に1度のむだけでよいDPP-4阻害薬も2015年に発売されました。効果は1日1回のむDPP-4阻害薬と同等といわれています。
薬を飲む回数を減らしたい人に向いています。毎日だと飲み忘れが多くなってしまう人には、1日1回の薬より有効な可能性があります。

GLP-1アナログ(注射) (ビクトーザ、バイエッタ、ビデュリオン、リキスミア、トルリシティ、オゼンピック)
食事を食べた時にでるインスリンの分泌を促すDPP‐4阻害薬よりも強力な注射の薬です。
効果:食物が腸に入ってきた時だけにインスリンの分泌を促し血糖値を下げ、インスリンとは反対に血糖値を上げる作用をもつグルカゴンの分泌を抑えます。また食物が胃から腸に送られるスピードを抑え、食欲もやや低下させます。また体重を減少させる効果も見られます。
副作用:注射を始めると吐き気や胸やけ、便秘がみられることがありますが、1週間から1カ月でなくなる人がほとんどです。我慢できそうな程度の吐き気や便秘であれば中止しないで続けることをおすすめします。ひどい場合は中止して主治医にご相談ください。単独では低血糖を起こす可能性もほとんどありませんが、SU薬やインスリンを併用している場合は低血糖を起こすことがありますので注意が必要です。
この製剤は注射ですが、インスリンとは全く異なるため、インスリン注射の代わりにはなりません。膵臓からのインスリンの分泌が極端に悪い人や1型糖尿病の人がインスリン注射を突然中止して使用すると糖尿病性ケトアシドーシスとなる場合があるため注意が必要です。
ビクトーザ
1日1回の注射ではじめての注射の方でも比較的気軽にはじめていただけます。海外の試験で心臓病や脳卒中の発症を抑制したという報告があります。量の調節が可能という利点があります。
バイエッタ
1日2回(朝、夕)の注射ですが効果はビクトーザより強力です。
ビデュリオン
2013年5月より発売された1週間に1回の注射です。効果はバイエッタよりやや弱いですが、体内でゆっくり溶けるために1週間以上効果が持続します。他の糖尿病の注射と比較して針がやや太いのと、振って溶かす操作が面倒なのが難点です。
リキスミア
2013年9月より発売の1日1回の注射です。持効型インスリンと同時に使うことができるため、膵臓の機能が弱っている人でも強い効果を期待できます。
量の調節が可能という利点があります。
トルリシティ(一般名:デュラグルチド)
2015年9月より発売された1週間に1回の注射です。振って溶かす操作がいらないうえに、針が細く、操作方法がとてもわかりやすいため、継続できるかたが多いです。インスリンと併用もできます。
オゼンピック(一般名:セマグルチド)
1週間に1回の注射で2018年夏までに日本で発売される薬です。海外と同じ量が使えるため、強い効果に加えて量の調節が可能、針が細いという利点を併せ持っているとされています。また、海外の臨床試験では心臓病や脳卒中のリスクの高い人に対してこの薬剤を投与したところ、その発症リスクを26%有意に低下させたという報告があります。

当院では自己注射を一度も経験したことのない方でも外来で注射指導をしています。自己注射療法は一度始めたら一生続けなくてはならないものではありません。自分の生活に合わないと思えばやめることも可能です。お気軽にご相談ください。

2018年7月現在上市されているGLP-1アナログ製剤はすべて注射ですが、経口剤や貼付剤の開発研究も進んでおり、数年以内に発売される予定です。

SGLT2阻害薬(スーグラ、フォシーガ、ルセフィ、デベルザ、アプルウェイ、カナグル、ジャディアンス)
血糖を尿糖として体外に捨ててしまうことによって血糖値を下げる薬です。
1日でおよそ200-300kcalのエネルギーが尿糖として排出されるために体重を減らす効果もあります。
単独では低血糖の危険はほとんどないとされていますが、SU薬やインスリンと併用する場合は注意が必要です。
BMIが22以下と体重が少ない人、高齢者で脱水に注意すべき人、腎不全がある人には向いていません。
血糖低下作用、体重減少作用、血圧低下作用もあり、国内外の臨床試験で心臓病や脳卒中の発症を抑制したという報告があり、様々な可能性が期待されています。
はじめの1週間は尿が増えトイレが近くなったりしますが、1週間程度でおさまることが多いです。食事のたびにお茶か水を2杯ずつとるなど水分を多くとり脱水にならないように注意しましょう。
特に女性で膀胱炎や膣カンジダ症になる危険がわずかに増えます。

αグルコシダーゼ阻害薬 (セイブル、ベイスン、グルコバイ)
腸からの糖質の吸収を遅らせる薬で、食後の血糖値の急激な上昇をおさえます。下痢・便秘・おならが増えるなどの副作用がでることがあります。

速効型インスリン分泌促進薬 (グルファスト、ファスティック、スターシス、シュアポスト)
飲んですぐに、そして短い時間、膵臓に働きかけインスリンの分泌を促進する薬です。服用直後から効果がでるために 食事の直前(5分以内)にのむことが大切です。外食の時は注文した食事がテーブルに置かれてから飲まないと低血糖を起こしてしまうことがあるので注意してください。

SU剤(オイグルコン、ダオニール、グリミクロン、アマリール)
膵臓のβ細胞に働きかけ、インスリンを分泌させる刺激を与える薬です。血糖値を下げる力は最も強い飲み薬ですが、飲み続けることで膵臓(β細胞)を疲れさせ、インスリンを作る力が落ちてくることが多く、糖尿病が悪化してしまうこともあります。「疲れ切った膵臓」にさらに鞭を打ってインスリンを出させるようなものです。やむを得ない場合に使用する以外は、なるべく他の薬を増やすことで減量したり中止したりしたほうが良いと考えます。
インスリンや他の薬との組み合わせで重症低血糖を起こすことがあるため注意が必要です。

インスリン療法(注射)
インスリンは、膵臓のランゲルハンス島という組織にあるβ細胞でつくられています。

膵臓のβ細胞からは食事に関係なくほぼ一定のインスリン(基礎分泌)と食事の刺激により変動するインスリン(追加分泌)が分泌されることによって血糖値は変動が少なくなるように調節されています。食事によって血糖値が上がる(血糖の量が増える)と、膵臓のβ細胞がこの動きをすばやくキャッチして、すぐにインスリンを分泌します。血糖が全身の臓器にとどくと、インスリンの働きによって臓器は血糖をとり込んでエネルギーとして利用したり、たくわえたり、さらにタンパク質の合成や細胞の増殖を促したりします。こうして、食後に増加した血糖はインスリンによって速やかに処理されほぼ一定に保たれるようになっています。しかしインスリン分泌能が低下し、量が減ったり、分泌するのが遅れたり、分泌していてもインスリンの効きが悪くなったりすると、血液中に入ってきた糖を処理しきれなくなります。その結果血糖値が上昇します。

インスリンのおもな働き
全身のほぼすべての臓器細胞にブドウ糖をとり込ませます
肝臓や筋肉でブドウ糖からグリコーゲン(貯蔵糖)が合成されるのを促進します
貯蔵されているグリコーゲンが分解されるのを抑制します
脂肪組織で脂肪が合成されるのを促進したり、脂肪の分解を抑制します

糖尿病の治療は基本的に食事療法と運動療法です。食事療法と運動療法を行っても血糖が十分にコントロールできない場合には薬物療法を行います。薬物療法には飲み薬による治療と注射による治療があります。その中でも、特に現在では、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞を疲れさせないようにして、血糖コントロールを良好に保つために、早い段階からインスリン治療をはじめることが多くなりつつあります。激しい運動をしたのちに疲れ切ってしまっている筋肉は休息をとって休めてあげなければ回復しません。膵臓もそれと同様です。外からインスリンを補充して、急な糖質の摂取を避けて、「膵臓を楽にしてあげましょう」
血糖変動の裏側には必ずインスリン分泌の変動があります。インスリン注射療法は、なるべく正常なインスリン分泌のパターンに近づけるように血糖変動を見ながら、そして今のライフスタイルをなるべく変えない方法を患者さんとよく相談しながら、不足しているインスリンを補充していきます。
インスリン治療をはじめるときも、飲み薬をすべてやめて基本的な頻回注射に変えるのではなく今まで飲んでいた飲み薬にインスリンを追加するなど、簡単にはじめられる方法もあります。
「インスリン注射はいったん始めたらもう一生止められない」と心配される声をよく聞きますが、決してそうではありません。
疲れた膵臓の働きがインスリン治療で回復したら、飲み薬のみの治療に戻せる場合もあります。現在では、インスリン治療は糖尿病の最終手段ではないといえます。
当院では、膵臓のβ細胞がインスリンを出す能力を評価し、インスリンの効きにくい体でないか(インスリン抵抗性)を評価することで、内服薬を追加したり、他の注射回数の少ないGLP1アナログ製剤に切り替えることでインスリン注射から離脱することは可能か?患者さんのライフスタイルにあった治療法を一緒に考えていきたいと思いますのでお気軽にご相談ください。

糖尿病の三大合併症
糖尿病性神経障害,糖尿病網膜症,糖尿病性腎症 を糖尿病の三大合併症といいます。また三大合併症は細い血管の障害で起こるため「細小血管障害」とも呼ばれています。
糖尿病性神経障害
糖尿病の合併症のうちはじめにでてくることが多い合併症です。
症状は
両足がしびれる 違和感を感じる(靴下をはいていないのにはいているような感じ 濡れた紙が貼りついているような感じ)
足が冷える
ものが二重に見える
めまい、立ちくらみ
便秘
尿が出にくい
勃起しにくい
心筋梗塞を起こしても痛みを感じない など様々です
糖尿病性神経障害は血糖コントロールを良くする(HbA1c値を6.9%(NGSP値)未満に維持する)ことでほとんどの人が予防できます。
糖尿病網膜症
以前は成人の失明の原因の第一位でした。
糖尿病がある人は眼底の血管が障害されて視力が落ちたり、眼底出血をおこして視野の一部が急に見えなくなったり、失明したりすることがあります。
眼科に定期的に通院してチェックしてもらうことが大切です。適切な時期にレーザー光凝固などの治療をうければ、視力の低下を抑えることができます。
糖尿病網膜症は血糖コントロールを良くする(HbA1c値を6.9%(NGSP値)未満に維持する)ことでほとんどの人が予防できます。
糖尿病性腎症
重症腎不全のために人工透析になる人の原因の半数以上が糖尿病性腎症です。腎移植をしない限り、1回4時間程度の治療を週に3回程度 一生続ける必要があります。
初期には尿アルブミンが見られ、進行すると尿タンパクがみられるようになります。
尿アルブミンまでの時期であれば治療が可能ですが、尿たんぱくが出始めると腎不全の進行を止めることは難しくなります。
ACEI(アンギオテンシン変換酵素阻害薬)やARB(アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬)と呼ばれる薬は、糖尿病性腎症の進行を遅らせる働きがあります。血圧の高い人は診察で130/80、自宅で125/75を超えないような厳格なコントロールが推奨されています。
尿アルブミンや尿タンパクがみられる人は、腎不全の進行を抑えるために食事のタンパク質を制限する必要があります。
糖尿病性腎症は血糖コントロールを良くする(HbA1c値を6.5%(NGSP値)未満に維持する)ことでほとんどの人が予防できます。
糖尿病の合併症(その他)
三大合併症以外にも糖尿病には以下のような合併症があります。いずれの合併症も血糖値が高い状態が続くと可能性が高くなります。
心筋梗塞・狭心症
ある日突然、急な胸の痛み重苦しさに襲われます。心臓の筋肉に栄養を送る血管がつまりそうになったりつまってしまうために起こります。心筋梗塞の場合は緊急で心臓カテーテル検査を行いつまった血管の処置をしないとその日のうちに命を落とすこともあります。狭心症の人は安静にしていれば数分で痛みが治まることもありますが、心筋梗塞に発展することも多いため危険な状態であることに変わりありません。
通常、心筋梗塞による胸の痛みや苦しみは非常に強いものですが、糖尿病の病歴が長い人は心筋梗塞になっても胸の痛みを感じないことがありますので注意しましょう。(糖尿病性神経障害による無痛性心筋梗塞)
予防するためには普段の血糖値だけでなく、血圧・コレステロール値・体重のすべてをしっかりとコントロールすることが重要です。
統計では糖尿病があると心筋梗塞や狭心症となる可能性は2-6倍に増えてしまいます。
脳梗塞・脳出血
ある日突然、手足の麻痺 呂律がまわりにくい、意識がない、などの症状で始まります。救急車で病院に行き脳CT検査で診断します。早い時間で発見、処置ができれば後遺症が残ったり、死亡にいたる危険を減らすことができますが、大きな脳梗塞や脳出血の場合は命を落とす場合もあります。また手足の麻痺など後遺症が残り、歩けなくなったり自分で食事ができなくなってしまうこともあります。
予防するためには普段の血糖値だけでなく、血圧・コレステロール値・体重のすべてをしっかりとコントロールすることが重要です。
統計では耐糖能異常(正常と糖尿病の間の状態)があるだけで脳梗塞となる可能性が約2倍に増えます。
また、日本人を対象とした最近の研究では、低血糖を起こすことなく安全に、しかも血糖値だけでなく、血圧・コレステロール値・体重のすべてをしっかりとコントロールすることで脳梗塞や脳出血の発症を50%以上減らせたという結果も報告されています。

足壊疽(えそ)
足の皮膚の中に菌が繁殖し赤くはれることから始まります。血糖値の高い人は菌を殺す働きをする白血球の働きが落ちて免疫力が低下しているため菌を殺せません。菌が増えて炎症が悪化すると血糖値はさらに上がります。痛みを感じるはずですが糖尿病で神経障害のある人は痛みを感じない場合もあり、発見が遅れ炎症が悪化する原因となります。ひどい場合は入院して抗生剤の点滴をしますが、血糖値を厳しく下げないと足が腐る壊疽(えそ)の状態に発展し、足を切断しなければならないこともあります。またもともと足の血管がつまり気味の人は入院治療をしても足の切断をさけられないことがあります。
血糖値が高い人は自分の足を毎日お風呂で見て異常がないかチェックしましょう。
閉塞性動脈硬化症
足の動脈がつまって血液が流れにくくなる病気です。100メートルほど歩くと足の太ももの筋肉が痛くなって歩けなくなり、しばらく休憩するとまた歩けるようになります。これを間欠性跛行(かんけつせいはこう)と呼びます。足の潰瘍(かいよう)や壊疽(えそ)になりやすい状態です。

歯周病
歯肉の痛み、歯が抜けるなど歯ぐきに炎症が続く病気です。症状があれば早めに歯科を受診しましょう。血糖コントロールが悪いと歯周病を起こしやすく、血糖コントロールが良いと起こしにくいです。また歯周病が治ると血糖値も下がる場合があります。
アルツハイマー型認知症・脳血管性認知症
統計では糖尿病がある人は糖尿病がない人と比べて認知症になる可能性が2.5-4.6倍に増えるとされています。

がん(悪性腫瘍)
糖尿病があるだけですべてのがんの発症率は1.3倍に増えてしまいます。ふだん血糖値が高い人ほど、がんになる可能性が高くなります。日本の代表的な研究でHbA1c値が5.4%(NGSP)未満の人と比べ、7.4-8.3%の人では2倍、8.4%以上の人になると3倍、がんになりやすいことがわかりました。

ED(勃起障害)
勃起しにくくなる、勃起しても長時間続かないなどの症状が出ます。
ペニスに血液を送っている陰茎動脈はとても細いため、糖尿病によって血管が障害され血液を十分に送り込めなってしまうことが原因です。
パートナーとの人生をより豊かにする手段としてED治療はとても大切なことです。決して恥ずかしいことではありません。気になる方は診察室で医師にご相談ください。

低血糖について
血糖値が低すぎる状態を低血糖といいます。
血糖値の正常値は70-109mg/dlです。
糖尿病の薬をのんだりインスリン注射をしている人では、血糖値が70mg/ml未満の下がりすぎた状態になることがあります。

低血糖の症状
低血糖になると
とてもお腹がすく
いらいらする 集中できない
ぼーっとして力がはいらない感じ 周囲の音や声が遠くなっていく感じ
冷や汗が出る
手が勝手に震える
などの症状がでます。これらの症状を低血糖症状と呼びます。症状の感じ方は人それぞれですので、「低血糖らしい症状」を感じた時に、もしも余裕があればブドウ糖の補給と併せて、その時の血糖値を測定してください。しかし低血糖の状態を改善することを最優先すべきですので、血糖値測定のためにブドウ糖の補給が遅れてはなりません。
この状態ですぐにブドウ糖か何か甘いものを食べれば血糖値があがり15分以内に症状がなくなってしまう場合が多いです。
何も食べずにほうっておくとさらに血糖値が下がってしまい意識をなくしてしまうことがあります。意識をなくした状態で数時間以上が経過してしまうと脳に後遺症が残る場合があります。(血糖値30mg/dlの状態が3時間以上持続すると脳に不可逆的な障害がおこるという報告があります)
低血糖の症状は血糖値が70mg/dl未満で起こる場合がほとんどですが、ふだんの血糖値が300以上あるような人では150mg/dl程度の高めの血糖値でも低血糖の症状を起こすことがあります。

もしも低血糖になったら
車を運転中の人はすぐに車を道路の脇によせていったん停車してください。
高所で作業中の人は安全な場所でいったん座りましょう。
万一意識を失っても自分や周りの人の安全を確保するためです。
それからブドウ糖20gまたは何か甘いもの80キロカロリーを食べてください。
ブドウ糖がない場合は
・コーラやファンタなどのブドウ糖の多い清涼飲料水
・果物ジュース
などを飲むと血糖値が速く上がります。
それらもない場合は何か甘いものを食べましょう。
80キロカロリー程度を食べて15分しても症状が治らない場合はもう80キロカロリーとりましょう。

糖尿病の治療中に低血糖になる場合
血糖値を下げてHbA1cが下がると低血糖になる危険が増えます。
低血糖を恐れるとHbA1cが高いままになってしまい将来糖尿病の合併症が出る可能性が増えてしまいます。
低血糖を起こさないように、高血糖のみを是正してHbA1cを下げるように薬を調整することが重要です。
症状の強さと血糖の値は必ずしも一致するわけではないため、低血糖と思われる症状があった場合は医師に伝えてください。低血糖の程度、頻度によっては薬の減量や変更など検討が必要です。また、食事量が変わったとき、運動量が変わったときは薬の量も変更となる場合があります。ぜひ医師に伝えてください。

糖尿病のない人でも低血糖を起こすことがあります。
糖尿病になりかけの人、境界型糖尿病の人では、炭水化物や糖質が中心の食事をすると
→1時間後  食後高血糖になる
→1-2時間後 血糖値を下げようと大量のインスリンが膵臓から出る
→3時間後  効きすぎて低血糖 となることがあります。(反応性低血糖)
おにぎりや麺類だけの食事の後3時間程度で冷や汗がでたり手が震えたりする場合は糖尿病になりかけている可能性があります。
HbA1c 5.4-6.0%の人でこの現象が多くみられます。糖尿病ではないのに低血糖の症状がでたら一度ご相談ください。糖尿病かどうかを調べる検査(ブドウ糖負荷試験)を検討する必要があります。
先に野菜を食べたり、主食以外のおかずもしっかりとることでこのような低血糖の大半は予防できます。
またごくまれにインスリンが出すぎてしまう病気インスリノーマでも低血糖になることがあります。

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